人体の構成成分「気血水」とは

人間の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素によって成り立っているという漢方の考え方です。
漢方では、身体そのものは「気血水」の三要素で構成されおり、身体の機能に応用したものが「五臓」と考えます。

「気」について

体内を流れるエネルギーとされ、人間が生命活動を営むための生理機能であり、 生命の根源とされています。

<気の作用>

推動作用:成長発育、血液循環、ホルモン分泌などの生命活動を推進する。
防禦作用:病邪と闘争し、体内への侵入を防ぐ(免疫機能維持)。
固摂作用:異常発汗や出血、失禁を抑制する(漏出・排泄過多の統制)。
温煦作用:体温の維持、熱の産生および組織器官を温める。
気化作用:気・血・津液(水)の水の汗や尿への相互変化や代謝を行う(物質転化)。

<気に関するトラブル>

全身を動かす基本的なエネルギーで精神面の影響を非常に受けやすく、心理的ストレスは「気」を不足させたり、停滞させたりする原因となます。
このような状態が続くと、身体の代謝バランスも乱れ、余分な老廃物が溜まりやすくなります。

●気虚(気の不足)にみられる症状
・呼吸が浅く、息切れしやすい
・少し動くだけで汗ばむ
・疲れやすい、体力に自信がない
・食欲がない、小食傾向
・風邪をひきやすく、長引く ・倦怠感があり、やる気がでない
・朝が苦手、朝食は食べたくない
・立ちくらみ、めまいが気になる
・顔色が白っぽい
・普段から眠気が強い
・軟便気味、下痢しやすい

●気滞(気の滞り)にみられる症状
・イライラしやすい、怒りっぽい
・ストレスが溜まっていると感じる
・お腹、わき腹が張る
・便秘・下痢を繰り返す
・便秘・下痢を繰り返す
・のどや胸につかえた感じがある
・ため息を良くつく
・口の中が苦く感じる
・ゲップやガスが出やすい
・気分がふさいで憂鬱になる
・月経前の緊張が強い
・月経周期が遅れやすい
・過食、拒食になりやすい

「血」(けつ)について

単に血液のことだけだはなく、体内に栄養成分を行き渡らせたり、器官を活性化させたりする血液の循環作用全体を示します。

<血の作用>

全身に栄養を運び潤し、精神活動を支えます。

<血に関するトラブル>

「血」は、「量、質、流れ」のバランスが重要です。日々の食生活や過度なストレスによりこのバランスが乱れると、血液に良い栄養がいかず、ドロドロした血液になり、「血」の停滞を招いてしまいます。すると全身に栄養が行き渡らず、老廃物の排出も滞り、あらゆる器官の機能低下を招き、新陳代謝が衰えることに。

●血虚にみられる症状
・顔色が悪い、つやがない
・皮膚や毛髪に潤いがない
・爪がもろく、色が薄い
・手足のひきつりやしびれを感じる
・手足が冷えやすい
・目が疲れる、かすむ
・物忘れが多い
・大便が乾燥して固いことが多い
・経血量が少なく、周期が遅れがち
・しもやけ、あかぎれになりやすい
・不眠、夢を多く見る、熟睡できない

●血瘀にみられる症状
・顔色がどす黒く感じる
・目の下にクマができやすい
・唇が青紫色の傾向がある
・冷えのぼせがある
・肌のシミやくすみが気になる
・イライラしやすく、情緒不安定気味
・月経痛がひどく、つらい
・月経量が多く、血塊がでる
・肩こり、首筋の張りがつらい
・中性脂肪、コレステロールが高い
・下半身が特に冷えやすい
・静脈が浮き出て見える

<水(すい)とは>

血液以外の体内すべての生理的な水液の総称(涙液、消化液、唾液、汗、尿、関節液など)で、「津液」とも言い、身体に栄養と潤いを与える体液成分です
「水」は、飲食物から体内に吸収され、全身を巡り最後に汗や尿、粘液、呼吸を通して体外に排出されます。

<水の作用>

血とともに脈管内を循環し、脈管外にも浸透して組織・器官・臓腑を潤します。

<水に関するトラブル>

「水」は血液以外の水分で、「津液」とも言い、身体に栄養と潤いを与える体液成分です。
「水」は、飲食物から体内に吸収され、全身を巡り最後には汗や尿、粘液、呼吸を通して体外に排出されます。
この「水」の代謝バランスが失われて、水分の過不足や流れが停滞した状態に陥ると、水分が必要以上に体内に留まってしまい、体内毒素の原因となります。各器官に行き渡るべき栄養も滞ってしまい、身体全体の代謝も低下してしまいます。

●水滞にみられる症状
・身体が重く、だるい
・手足、顔、下半身などがむくみやすい
・雨の日は調子が悪い
・軟便、下痢をしやすい
・車酔いしやすい
・めまいや吐き気をもよおすことがある
・手足の指や関節が強張ることがある
・夏バテしやすい
・胃がポチャポチャする
・吹き出物が出やすく、化膿しやすい
・タンや唾がよくでる
・おりものが多い

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